“体重100kg以上”サッカー選手が躍動 ドイツに新リーグ誕生…背景に「肥満事情」(2023年5月23日)
サッカーの強豪国ドイツで新たなリーグが発足し、注目されている。実はこのリーグには、体型の“ある条件”を満たさなければ、参加できないという。一体、その条件とは?
■“重量級”サッカー選手が躍動
サッカーの強豪国ドイツで練習に励む選手たち。ただ、気になるのは、そのおなかだ。皆、立派なおなかをしている。
このサッカーチーム、その名も「ヘビーキッカーズ」。在籍するメンバー26人全員がその名の通り、重量級の選手たちなのだ。
「ヘビーキッカーズ」創設者 クラウス監督:「(リーグ戦において)対等な試合をしたいと思っているので、チームに運動能力が高い選手を入れて、他の選手を圧倒したりすることはしません」
先月、ドイツで発足した「オーバーウェイト・サッカーリーグ」、肥満体形の人たちのリーグだ。
ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州のこのリーグは、「ヘビーキッカーズ」をはじめ6チームで構成されている。
■発足のきっかけは…「肥満問題」
このサッカーリーグに参加する選手には、条件が設けられている。
それは体重100キロ以上というもの。そこには、“ある目的”があるという。
クラウス監督:「すべては(肥満体形の人が)体を動かすことなんです。家で座って、ただポテトチップスを食べるのではなく、ピッチで一緒に同じ境遇の人たちと、スポーツをしていたほうがいいです」
このサッカーリーグが発足したのは、ドイツが抱える「肥満問題」がきっかけだ。
肥満を理由に運動から遠ざかっていた人たちがサッカーを通じて楽しみながら、健康的に体重を減らすことを目的としている。
バウアー選手(32):「この経験は、ポジティブなものばかりだ。これまで(体型により)プレーが難しかったが、またサッカーをするのが楽しくなっているよ」
クラウス監督:「このアイデアがさらに広まり、注目されることが私たちの願いです」
■肥満増加の原因は…「運動不足」
リーグ発足の背景には、ドイツの肥満事情があるようだ。
WHOのデータによるとドイツでは過体重または肥満の成人の割合は56.8%で、日本の27.2%の2倍以上になっている。
肥満の原因の一つとされているのが、「運動不足」だ。ドイツの医学誌によると成人男性の40%、女性の44%が運動不足だという。
さらに、11歳~17歳ではさらに顕著で、男子の80%、女子の88%が運動不足だというのだ。
そして、影響は意外なところにも出ていて、ロイター通信によると、ドイツ軍の18歳~29歳の若手兵士の40%前後が、運動不足で体重過多となっていたこともあったという。
■政府も対策 「砂糖税」導入を検討
そして、もう一つが「食生活」だ。
ドイツ公共放送のテレビプロデューサーを務めるマライ・メントラインさんによると、「ドイツの一般的な子どもは1日5食」だという。
ドイツでは、多くの学校で1時間目が8時に始まるため、朝の午前6~7時ごろに朝食。午前10時ごろの休み時間に、サンドイッチなどの軽食。また午後にはほとんどの学校で授業が終わるため、帰宅後に昼食。さらに午後3時のおやつ。そして、夕飯といった形で食事をとるという。
また、午後3時のおやつにも特徴があり、「お菓子がとにかく甘い」という。
実際、ドイツでは1人当たりの砂糖の消費量は日本の2.6倍、チョコレートの消費量は世界2位となっている。
こうした状況に、政府も対策に動き出そうとしている。
ドイツメディアによると、砂糖を多く使う食品に対して課税する「砂糖税」の導入などが検討されているという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年5月23日放送分より)
[テレ朝news]